猫好きオッサンのメキシコ在住半生記

猫好きのオッサンがメキシコに住み着いた半生記

猫好きオッサンのメキシコ在住半生記-その4

メキシコに定住するまでの経緯-その4(陸路でティファナ~メキシコシティーへ)

バスが出発して最初に驚いたのは、走り始めて直ぐガソリンスタンドで給油を始めた事だ。最初のカルチャーショックというか。。段取りとか準備の考えが無い。これは40年経った今でもあまり変わらない。30分程で給油が終わりやっと走り出した。

バスに同情したギリシアから来たという若者と片言の英語で会話をする。彼はメキシコのベラクルスへ親戚を訪ねて行くが一緒に行かないかと誘われるが、メキシコシティーで遊学中の親友と待ち合わせているので、辞退した。安心したのかいつの間にか眠ってしまう。夕日が沈む頃バスは止まった。

ティファナからメキシコへ向かう当時の長距離バス(48時間の旅)

国境付近の検問所で乗客全員降ろされ手荷物検査とパスポートなどの身分証明書で本人確認。日本と又違う二回目のカルチャーショックに遭遇した。後から分かった事だが、特に米国で買ったラジカセ等の税金を払うか没収されるかというのが目的であった。俺はそういうものは持っていなかったのですんなりとバスに戻ることが出来た。

夕闇の中を再びバスは走り出す。

地平線の見える単調な道路を行く

排気音が爆音で(多分マフラーが短い)何もかも日本と違うことや、人家のない平原の中、月夜に照らされた何処までも続く道路脇の柵を眺めていると、北海道で見た景色がちっぽけに思え、本当にメキシコへ入国したのだと実感が湧いてくる。夜半にバスは道路わきのレストランに停車する。どうやら30分程休憩すると、ギリシャの若者が説明してくれた。彼はスペイン語が分かるようだ。レストラン内に入るが食欲がないので、スペイン語でも通じるコーヒーを注文したが、煮炊きコーヒーが出てくる。所謂メキシカンコーヒー(カフェ・メヒカーノ)というやつで、シナモンと砂糖が入った甘ったるいコーヒでこれ又、驚いた。30分きっかりにバスは出るかと思いきや、小一時間してから、バスは動き出す。時間が正確で無いと、又カルチャーショック。

カフェ・デ・オジャ(cafe de olla)シナモンと砂糖の入った煮炊きコーヒー

三月下旬でも昼の間は半袖で過ごせるほどの気温だったが、夜半の気温はぐっと下がり、隙間風の入って来るバスは肌寒く異国の地を実感しながら、轟音を子守唄に眠ってしまう。朝まで2・3回目覚め窓から外を眺めるが、延々と続く平原と道路脇のこれ又途切れない柵の風景が月夜に照らされるだけ。一人旅の侘びしさが襲ってきた。未だ日本を離れて一ヶ月も経たないのに先が思いやられる。逆にいうと余裕が生れて来たということかも知れない。シティー迄は何も考えずに道中を楽しもうと思う。

 

30日間視聴無料

翌朝8時ごろ、休憩の為にレストランに停車。此処でも30分の休憩とある。朝食なので適当に付近のテーブルに着席したバスの乗客と同じものを頼む。今度はほぼ30分後にバスは出発した。日が高くなると共に気温も上昇し、クーラーが欲しい位の熱い風が窓から流れ込んでくる。景色は相も変わらず単調で段々見飽きてきた。道中ウトウトしながら過ごす内に、お腹が凄く空いてきた。次のバスストップが待ち遠しくなる。

 

午後2時頃昼食休憩でレストランに停車。早速ギリシャの青年のスペイン語を頼りに食事を注文するが、これ又ハプニングの始まり。何が食べたいと尋ねられたので、チキン料理と言った。注文を取りに来たウェイターが青年に何度か確認している様であったし、バスの乗客も顔なじみになって居たので、コチラを見ていた。暫くしてお盆に乗せられて来た物は、半分に切られた”スイカ“が二つ‼ギリシャの青年の顔を見ると、彼はウェイターにジェスチャーで手をバタつかせてニワトリの真似をするが、その仕草に皆大爆笑‼

俺たちは仕方なくスイカを食べて空腹を紛らわす始末となった。バスは夕方4時ごろメキシコシティーの北ターミナルに到着。続く-5